例によってまだ2章の途中までしか読んでないんですが、備忘録がてら書いていきます。
読んだ本
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タイトル なぜ世界は存在しないのか 著者 マルクス ・ガブリエル 訳 清水一浩 第一刷発行 2018年1月
はい。 頭の中に「?」が浮かぶタイトルですねー。 以前に本屋かどっかで並べられてるのが目に留まった記憶があります。
今回手に取ったきっかけは、この「マルクス ・ガブリエル」という著者の本が「面白い」と人に紹介されたことにあります。
たしかに読んでみたら、めちゃくちゃ面白かった。 内容については後述します。
著者について
まず、この著者ですが、なんと「29歳 」にしてドイツのボン大学 の教授になったといいます。
普通、教授って50とか過ぎてからなるもんだと思いますが、異常な早さですね。
ついでに 「複数の言語( ドイツ語 、 英語 、 イタリア語 、 ポルトガル語 、 スペイン語 、 フランス語 、 中国語 )」を「自在に操り」、さらに「古典語( 古代ギリシャ語 、 ラテン語 、 聖書ヘブライ語 )にも習熟している」*1 、だそうです。 どうりでイタリア語やフランス語の本がしれっと引用されているわけだ。
世界が存在しないってどゆこと
まず、タイトルに世界が存在しないとか書かれているわけですが、 これを見たとき多分誰もが、じゃあ「この本を見ている自分」と「自分が今いるこの空間」は何なんだと思うでしょう。
ネタばれですが、 著者は上記どちらの存在も認めています。 単に世界というものについての著者の考えが独特なだけでした。
彼は「世界*2 」をすべてを包摂するものとして捉えているようです。
それがタイトルとどう繋がっていくのでしょうか、 次節以降でみていきます。
世界と宇宙は違うんだよ
さきほどの私が抱いた疑問「自分が今いるこの空間は何なんだ」を敷衍すると、本屋、本屋が建てられている○○市、○○市がある日本、もっと言えば、地球や「宇宙」までたどり着きます。
「世界」=「宇宙」という捉え方は、科学が人々の信ずるところの主要な地位を得ている現代では割とメジャーなんじゃないかと思います。
じゃあ、その物理学的な考えでいう「宇宙」って、あらゆるものを包摂してるんだっけ?、という切り口で著者は「世界」=「宇宙」論を切り崩していきます(P. 17-21)。
宇宙というのは「実験によって開拓できる自然科学の対象領域」なわけですが、 世界はもっと広いものだといいます。 それというのは、世界には「実現しなかったさまざまな可能性」や「世界についてのわたしたちの思考 」も含まれているからだといいます(P. 18)。
ここは結構、「なるほど」と思わされました。
たしかに「色々考えている私」や「私の考え」もなんかしらのかたちで存在*3 しているわけで、 いわゆる宇宙はそれらすべてを包摂しているとはいいがたいかもしれない。
世界は原理的に在り得ない
ほかにも「なぜ世界が存在しないのか」に対する著者の面白い説明があるので紹介します。
わたしたちが世界について考える場合でさえ、わたしたちがそれについて 考えている世界は、わたしたちがそのなかで 考えている世界と、もちろん同一ではありません。(P. 33)
図で表そうとするとどうしても物理的存在になっちゃって、 著者が言ってるのとは違ってきちゃうけど、 ざっくりイメージとしては以下のような感じ。
「それについて考えている世界」と、「その中で考えている世界」
この図式でいうと、たしかに「わたしたちは、けっして全体としての世界をとらえることができません」というのは原理的にその通りだなと思う。
こう聞くと、「いやいや、その考え自体がぜんぶ脳の神経の情報伝達に過ぎないんだよ。だから全部物質として捉えられるんだよ」という「唯物論 」チックなことをいう人が出てくるでしょう。(私も結構この考えで突き進んできた)。
この立場についても著者は意味論的解釈によってそれが成り立たないことを主張しています。(力尽きたので今日はこれについては書きません)。
おわりに
著者自身が本書で言っているように、素人でもわかるように前提知識を求めない形で明晰に書いているのですごい読みやすかったです。
あと訳がいいっすね。清水一浩さん、確実にデキル人。
とはいえ、読んだ人の多くが言っているように、扱ってるテーマが大きいだけに簡単とは言い難いですね。 説明的な文章を書くのも一苦労だった。
やっぱ自分一人で読んでるとわかった気になってるけど、アウトプットしようとすると自分の理解度がそこまででもなかったってことが炙り出されますね。 そこがいいんですけど。
哲学書 にしては珍しく面白かったんで(←失礼)、続きも読んでみたいと思います。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
注
ページ数のみを示したのは全部『なぜ世界は存在しないのか』からの引用です。
下線 は原文に書いてあったやつです
太字は筆者によるもの
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